「げほごほ」



二三日前からヤバいと思ってた風邪は案の定しっかりと玲汰の喉をやってくれたらしく、隣でかなり苦しそうにしている。



ちょっと熱もあるのかほんのりとピンクに薄付いた肌がとってもセクシーと思いつつも具合の悪そうな恋人を見るのは本当に可哀想でたまらない。



俺と違ってそんなに風邪をひかない玲汰は、いつも症状が重くなるまで何もしないからひどくなる。



「玲汰、平気か?」



額をこつんとあわせてみればいつもはひんやりと俺より低い体温が、暖かくて。







「ぁー…お前これ熱あるぜ、絶対」



言えば顰められる顔とやめろよ、と掠れた声。

打ち合わせのため集まっているももうすぐそれも終わって解散となるはず。

そうしたら家に帰ってとっととベットに押し込みたい。

「身体ダリイけど…まだまだ…イケんべ」

はあ、とため息をつきながら肩にもたれかかってきて、その高めの体温が伝わる感じがとても心地よい。

いつも甘えてこない玲汰がちょっとだけ俺だけに見せてきたこの空間。



「あーあ、、玲ちゃんかなりつらそうだね」



そんな俺らを見てか、リーダーから解散しようかの提案とともに俺は玲汰を玲汰の家でなく、自分の部屋に連れ帰った。







「飯持ってくからベットで横になってろよ」





家についてから早々に言えば、玲汰の口からは食欲ねェのせリフ。

微かにしっとりしてる肌から、熱がかなり上がってきてるんじゃないか、って推測される位。

玲汰の吐く息が熱い。





「玲汰、お前マジ早く横になれよ」

促すようにすればこくん、と小さく頷かれ素直に寝室に向かう玲汰に多少の心配。

自分の部屋だから薬はある程度は揃ってるけど、ふとそれが果たして玲汰にとっても合うものなのか、とかなにも考えていなかった。

薬は個人差があって、俺には合うものでもコイツには合わないかもしれない。





「玲汰、お前薬で駄目なのってあっか?」

「……薬嫌い」

ベットに横たわる玲汰に聞けば小さくそんな台詞。

薬駄目って小さく言う恋人はまるで小さな子供のようで。



「…粉じゃなくていいからのめよ」

「…苦いからヤだ」





それ喧嘩おれに売ってるわけ?と言うほど間髪入れずにきたその言葉は本当にコイツが苦いものが苦手でどうにもこうにもならないということがわかる。

でも、でもだ。



やはりすぐに治っていただくにはどう考えても薬というものは必要というものであって。





「…カプセルのやつかってきてやっから大人しく飲め」



自分が常備してる薬は粉のやつだし。
この子供みたいないいわけでのまないと言い張るこいつにはこれが俺としてもかなりの譲歩。
俺としても苦しそうなこいつは見たくないし。




「…買う?」



そこまで言ってて何故かそんな掠れた玲汰の小さな声。



その声は何だかとても心細いといった具合の声で。



「…すぐそこの薬局に買いに行くだけだって」

俺の持ってるの粉だし、と言い加えれば、手首を掴まれる。






「……ヤ」






そして呟かれるそんなセリフ。

「ヤじゃねえだろ。お前本気で風邪なめんな?」

いつも悪化するのは玲汰の悪い癖だろ、なんて言ってその手を放させようとすれば、ふるふると。

かすかに潤んだ瞳でそう首を横にふられればそれは本当に犯罪級にかわいいもので。

とにかくうっすら開いたその薄い唇の濡れた感じとか。

はたまたその首の角度とか。

見上げてくるその眼とか。






「…玲汰…」






ごくん、と響くくらいな音をたててしまう吐息。


「流鬼はここにいろ、よ…」


ぎゅ、っと相手の指先から伝わる熱。


そしてその声とおねだりでもされてるかのような気分になるその内容。


手首に相手の指先が食い込み、そこからじんわりと広がる玲汰の甘え。



「…そばにいて欲しいワケ?」



「…」



少しタイミング遅れてこくんと縦にふられるそのしぐさ一つが本当に可愛くて。


風邪のせいでとにかくその潤んだ瞳は俺の理性を狂わせていく。




「…そばにいてやるから」




ほら、と頬に軽く口づけてから自然と笑みがこぼれる。

全身から玲汰が好き、とあふれてくる想い。





「……流鬼も…一緒に寝よ…」




誘われるがままにその言葉に。



「ったくしょうがねェなァ…」




するりと玲汰の横たわるベットの中に俺の身体は吸い込まれていった。





「んっ……」




玲汰の身体に触れてる指先がかすかに動くたびに玲汰の口からは悩ましげな声。




熱くほてった身体は俺にとってもこの寒さを忘れられるものであって。
逆に玲汰にとっては涼とる存在であって。







「っ……」





その声が脳裏に響くたびにドクドクと心臓が早なりしていく。


「玲汰…」


そっと唇に口づければ、うっすらと開かれた相手唇の間から熱い吐息。


思わず興味を示すかのようにその開かれた扉内に舌先をゆっくりと滑らせる。


くちゅ、と音をたてて歯列をなぞる。


吐息がたがいの口元から漏れ気分が高揚してくる。



「流鬼…っ…」



風邪移る、と言う相手の言葉があえて耳にはいってきてないかのようにしてそのまま指先を上着の釦に掛ける。


ぷつん、と音をたてて釦が外れ白い肌が見えていく。

肌がまるで指先に吸いついてくるかのようにしてその胸元に指先を走らす。

胸元をなぞるだけでひくひくと身体が震え相手の呼吸が荒くなる。



「やっ…あっ…」



かすれた声が響き、いやいやするその仕草一つが欲をかきたてる。






「玲汰…」






俺我慢できねェ…、とそのまま玲汰の胸元に吸いつくようにして唇を押しつけた。




















「で……」

流鬼が風邪ひいたわけ、ね…とリーダーの口から冷たい声色で言われる。
結局玲汰とメイクラブし過ぎた代償か。
玲汰以上に風邪を悪化させて今に至るわけで。






「げほげほごほ」






何かをしゃべろうとするとこの咳が出てきて、何も反論できない。


「もうさー…いつもの事だけど、玲ちゃん風邪ひかないでよ。流鬼がさらに悪化させて風邪もらっちゃうからさ…」

いい加減流鬼も玲ちゃんに盛るのやめなよ、と。



ガンガンする思考回路では何も考える事もできずに俺はその命令にひたすら頷いてたと知ったのは後の祭り。



終わり。






あとがき




風邪ひいた時の玲汰さんって絶対めちゃくちゃかわいいと思うんです。
間違いなくわしは手を出してしまうであろう・・・。
これがまた書き始めたら面白くて面白くて熱にうなされる玲汰さんにひどい事ばっかしてる小説になってしまったんで大幅にCUTしてしまいました(苦笑)
見たいと言うかたがおりましたら裏ページがなァ・・・。
熱でうるるるる…な玲汰さんはほんまにかわいいに違いない。
めちゃめちゃ妄想だけで軽くわしないもんが勃ちますもん!!!