さらさらと揺れる風が気持ちよくてその日は一日中惰眠を貪る気だった。



風に揺れる白いカーテンに光が反射して眩しい。
もぞもぞとシーツに包まりその明るさから逃げるかのように丸まってく。



「ん…」





麗の口から寝返りをうった瞬間声が漏れる。

既に太陽は真上まできており、正午に近かった。

最近忙しくしてた反動か折角の休日、ベットの中で過ごそう、と誓って寝たのは昨夜の事。


有言実行とはまさにこの事、と実に幸せに寝ていた。






……はずだった。







バタバタバタとけたたましい足音と共にやってきた、ソレ、さえなければ・・・







「麗!折角の休みに何寝てんねや!もう昼、昼!早ぅ起きて外行こうやっ!」




足音もうるさいが元気な声でばさりと被ってたシーツごとはがされる。


「葵、さん……寒……」


急に外気に触れた身体は肌寒さを感じてまだ眠い目で睨む。


「麗、寝すぎやよ。買い物でも一緒に行こうや?」


カーテンを一気に明け室内に昼の光が充満させる葵。


「買い物って、、、何必要なんだよ……。まだ眠い」


再びシーツの中に潜り込もうとする麗に葵は少しイラつく。

ツアーでこそないが、地下活動ばっかりで何かと忙しい日々を送ってた中の久々の休暇。




なのにこの麗は自分と一緒にいる事よりも寝る事を選ぶのか。





何だかムカついた





「……ええよ、誰か他の人と行くから麗は一日中寝てたらええわ」


むかむかしながら言うと葵は部屋の扉をバタンと言わせながら出て行った。





「…葵さん……?」




よくわからなかったのは麗。


何で俺が寝てると怒るんだ、おまけに他の誰かって何だよ、一緒にいればいいじゃん、と。


「ちょっ……葵さん……!」


素足のまま扉の向こうにいるであろう葵の姿を探しに出てく。


「……もう、行った…?」



少し自分もついていってあげればよかったかな、とぼやきながら振り返った瞬間そこには葵がいた。




「まだおるよ、麗……。麗何で追いかけてきたんよ?寝るの大好きやろ?」



苦笑いしながら腕組みして意地悪く問う葵の姿。

俺より幾分か低い背のくせに大きく見えるそれ。 



「……あ、、や…折角だから一緒に行ってやろうと思って……」


何となく歯切れなく答える。
 


その姿は葵を誘うには十分威力を発した。

照れてるのか少し上気した頬。


寝起きのせいで乱れてる寝衣。



そして何よりも自分の事を追ってきてくれた、と云う事実。



「なあ、麗。俺買い物よりも有意義な過ごし方思いついたわ」



麗の腕をつかむと再び寝室にずかずかと戻りベットにすとんと押し倒す。


「葵さん……?」


もちろん焦るのは麗の方。


さっきまでの葵の表情とは打って変わって艶っぽいのに流されそうになる。


「麗……俺、したくなった。駄目……?」





想像通りの答えに倒れそうになる。



「駄目、に決まってんだろ?俺眠いんだよ」



さらさらと風に揺れて聞こえる木々の音、一面の光。

そして身近に感じる葵さんの体温。




「ん……」



「……って麗、何また寝る体勢になってんよ」


再び寝ますよ、俺は的に布団の中にもぐりこもうとする麗に葵は不満を漏らす。

何も言わない麗に葵はぶつぶつといいながら自分も布団に入り込み麗の弱い耳元にちゅくちゅくと口付け繰り返し麗〜と名前を囁く。



 
「葵さん〜…真昼間だぞ……おまけに窓開け放……」




言い切る前に唇を塞がれる。


貪るようにするりと舌先差し入れられ絡め取られる。

唾液が混じり?がってる所からくちゅくちゅとした音と共に麗の甘い声が漏れ始める。



口腔内を思う存分貪ると葵は麗の唇からゆっくりと離れる。




「麗、昼間の方が身体見えていい、やん…?」




言いながらシャツのボタンを弾いてく。


「声……外に……漏れ、る……だろ」




開けっ放しの窓に目がいって途切れ途切れにも不満を漏らす。



明らかに外に人が歩いてたら聞こえてしまうだろうし、こんは真昼間から、と羞恥に頬を染める。




「平気だって、麗の声やってバレへんって」




麗の姿にすっかり欲情したのか葵は器用に服を脱がしていき首筋に唇落としてく。



「ぁ、お……ぃさ…」



ぞくんとした快楽に身体ぴくんと反応してしまう。


「あ、、麗のココ……ぷくってなっとる…触ってええ……?」


いいながらも返答される前に葵は麗の胸で口付けだけで反応示して赤く充血してる胸の突起を指先で弾く。


「っっ……ぁっ……、……」


びくびくと腰が跳ねてしまいシーツをぎゅうっと握り締める。





「麗、ココ気持ちええ?ええんやな?」



意地が悪いのか本気で言ってるのか焦らすように指先で執拗になぞられるだけの刺激に麗は葵を睨む。


「葵、さん……」

「麗……」


可愛い、ってつい言いそうになるのをぐっと堪え葵は顔を下にずらしていく。


片手で胸の突起をいじりながらも下着ごとズボンに手をかけると器用にずらす。


「んっ…葵、さ……」


何度も名前を呼ばれる度に葵は下腹部に熱が集まってくのを感じる。


手で触れればびくんびくんと跳ねあがり反応しめす麗の身体に葵は胸の高鳴りを覚えてく。


「俺で感じてくれとるのが、ほんまに嬉しいわ」



何度となく重ねてきた身体。

どこがいいかなんて細胞の一つ一つがずっと前から知ってたかのように勝手に身体が動く。


指先で自身に触れてあげれば既にそこはくちゅりと音を発する。


「ココ……俺に感じて、くれとる……」


嬉しくなりゆるゆると指先を絡め上下にゆっくりと動かし始める。


麗は思わず声を高らげてしまいぱっと自らの口を両手で塞ぐ。

声が外に漏れてしまえばいくらなんでも自分たちは男同士だし誰が外で聞いてるかなんてわからない。

極力声を殺そうとしてもダイレクトにくる快楽に漏れる途切れ途切れの吐息。




そして艶を含み濡れた声。




それだけで葵は思わずごくりと生唾を飲み込んでしまう。




触れている所から流れてくる麗の体温。





何度肌を重ね、想いが通じ合う前から何度となくした。




通じ合ってからはもっともっと頻回になった。





身体を重ねるたびに麗の身体は色気を増していく。
自分の下で乱れてく麗にいつも欲情してく自分。





この世に同じバンドのメンバーというだけなのか、
それともお互いの傷を舐めあうだけなのか


こうして体温を感じあうのは安心を得るだけの為に求めているのか




「葵さん……?」




急に動きを止めてしまった葵に麗はおずおずと声をかける。


動きを止めてしまったのか、と葵は苦笑しつつも再び指を動かし始めた。





「……さっき何考えてた?」



情事の後の気だるい空気の中麗は葵に不意に聞く。




「あ……?何の事?」




普段鈍いのにこう言うときだけは本当に勘が働くんやからこの人は、と葵はどきりとする。


まさかエッチの最中に急に不安になってもた、なんていくらなんでも格好が悪すぎる。

笑ってごまかそうとすると麗の真剣なまなざしにどきり、とする。



「俺は、メンバーだから、傍にいるからってだけで 葵さんとこうなってるんじゃないよ。…葵さんだから、…葵さんじゃなきゃ駄目、なんだ」





「ぇ……?う、るは?」





「確かに俺らは男同士で、紛れもない同じ染色体持ってるし。それは何があっても変わらないよね。同じ男で、同じバンドのメンバー、本当最悪だよ。絶対いい死に方しないよ、俺ら。
でも、、それでも俺は葵と一生いたいんだ……。同じ男でもいいからこの世界に、俺のそばにって思った位だよ」





少し照れたように頬を赤く染めてこれだけは忘れないで、と言う麗の言葉に目頭が熱くなってくのを止められなかった。














「……お酒も呑んでないのに、泣かないでよ、葵さん」





少し困ったような声を出しながら頭をぽんぽんと撫でられるその手の感触の暖かさに涙がとめどなく溢れてしまったのは言うまでもない











END




〜あとがき〜

えっと、へたれてしまった葵さんですみません。
さらにコレは別ジャンルで昔書いた話のリメイク版です。
PCいじってたら出てきたんでちょっと懐かしくて使ってしまいました(笑)

なんか流玲より葵麗は、っつうか葵さんは馬鹿な事で悩みそうなイメージが合って(苦笑)

エッチシーンは気分が乗ったらって事で省かせてもらいました(ぇ)