好きだから


許してしまう


そんな


気分。


「蜂蜜」






「…ん〜」


もうテレビでは昼の奥様ドラマをやっている時間に玲汰は流鬼の腕の中で目を覚ます。

そして自分の首や胸に所かまわず残っている昨夜の激しい情事の痕を見て思わずため息が出る。

前はそんなこと無かったのに、ここのところヤッた後は必ず赤い花が散っている。


昨夜も、というか数時間前までの事を思い出す


最後のほうはかなり流鬼は激しかった。

玲汰の腕の中でいいように翻弄され、何時寝たのか実際によく覚えてない。


今は向かい合うように眠っており、どこもかしこも流鬼と身体が密着していて、離れてはいけないんだな、とも思わせるように流鬼は玲汰の身体を抱きしめて寝ていた。


「……」


玲汰は横で穏やかな顔をして寝ているオトコの顔を見つめる。


このオトコが幸せでいる限り、自分も幸せでいられるだろう。



でも、



でもだ。



自分は疲れ果てているのに、目覚めてしまった自分の横でこんなにも満足した顔で寝られていると結構堪らないものがある。


その横顔にそっと触れようと、鉛のように重い腕をシーツから抜き出した時に、その手首にくっきりと痣があるのを発見してさらに眩暈を感じる。


そういえば、結構ひどいことをされたんだべ、と。

そのまま抜き出した手を苦労して真上に伸ばす。

まるで他人の腕のように重い。それをまっすぐと伸ばすと、そのままそれが自然かのように力を抜いた。


当然、腕は重力にそって倒れる。


流鬼の顔の上へと。


「痛て…っ!」


思いっきりやったわけではないからそれほど重くは無いとはいえ、流石にいい気持ちで寝ていたのだから、突然のそれで目を覚ます。


だから自分の発したその声に目を明ける。

「……玲汰?」


寝たりなさそうな目で辺りを見回し、頭の上に乗ったままの腕を片手で掴んで顎の下まで下げる。

そして真向かいに可愛く朝から膨れてる綺麗なものを見つけて、ニヤリと笑う。


「おはよう」


まだ眠かったが、その顔を見つけた瞬間に、流鬼は幸せな気分になって後はどうでもよくなった。


玲汰はそんな流鬼の顔にドキっとしながらも、その直後にため息を零す。


「……流鬼」


声を出すと喉が痛い。


流鬼も玲汰の掠れた声に気づいたのか、眉をひそめた。



「玲汰?」



片手が伸びてきて、大きな掌に頬を包まれる。  


玲汰は目を細める。


心地よくて。


「どうした?」


「……」


けれど細めた目はその声にキッと吊り上げる。


流されてる場合ではないのだ。


玲汰は無言で、流鬼の頬を引っ張る。


「……痛ってー!」


いきなりの玲汰の行動に流鬼は避けることも出来ず、玲汰の頬を覆っていた掌をそのまま自分の頬に持っていき、さする。


「……朝からなんだあ?」


「それはこっちのセリフ、流鬼」


「……は?」


上目遣いに見上げてくる玲汰のつぶらな瞳は間違いなく怒っている。


起き抜けにこの顔をするなんて、俺なんかしたっけ?なんて思わず声が出そうになる。


「……やりすぎなんだよ、流鬼は」


流鬼が少し躊躇いがちに言う。


すぐにピンと来るが、あえて流鬼は玲汰にその先も言わせようとニヤリと笑って何が?と言う。

「〜!」

「ほら、言ってみろよ。俺にちゃあんとわかるように」


みるみる間に耳まで赤くなる玲多が可愛い。


そして小さな声で焦らしすぎ、だの変態、どのの単語が聞こえてくる。


「あれ?少しも悦くなかった?」


こんな答えを返されるとは思わず、眉をひそめる。



悦くないわけがない。

でも


流鬼はヤリすぎるのだ。



「……」



最初は、そう。


悦かった。


でも途中からその快楽は苦しみになってしまうのだ。



それは?



それは……


玲汰へ上目遣いで視線を送る。


「解った」


「玲汰?」


「流鬼が焦らしすぎるから、快楽なんてものは忘れるんだって!」


「……」


正面きって玲汰が言う台詞に困ってしまい流鬼は過去を振り返る。


今まで自分はどうだったか。

考えて次々と思い出し、そうして認めたくはないが、納得してしまう。



「あー…」


「あー、じゃないだろう」


玲汰がさっきまでの可愛い顔を瞬時に呆れ顔へと変化させる。


負けざるを得ない。


「でもな、玲汰見てると時々縛り付けて泣かせてみたり、意地悪してみたくなんだって」


正当な主張です、とでも言いたげに流鬼がシレっと言うものだから、玲汰は目を細めて細めて


「威張って言うこと?」


ビヨンとまた頬を引っ張って、手を離す。


すっかりと引き締まった頬の肉は以前と比べて伸びにくくなっているが、だからこそ痛みはあるだろう。


「全部俺のせい?」


「そうじゃなくて、でね……玲汰って残虐心そそるんだよ。そのほうが玲汰も燃えるみたいだし」


ここでニッコリ笑えば完璧。


「る、流鬼がサドなだけだろ!」


更に真っ赤な顔をしては反抗してくる玲汰は実に可愛い。


「オトコって基本的にサドかマゾかのどっちかだろ?玲汰は自称サドだけどな〜」


玲汰は言葉を続けることが出来なくなった。

こうなったら何が何でも自分はこの目の前の悪魔に言いくるめられてしまうことは目に見えているからだ。

自分はこのオトコに昔っから勝てたことがない。

そんな玲汰を見て取り、流鬼は顔を耳元に近づけ囁く。


「焦らせなかったら、イイんだな?」


イイ、の発音が微妙なことと、腰に直接クル低音ボイスでビクっと身体が震える。

そんな姿を見て流鬼は玲汰の腰にシーツの中から手を伸ばし、そっと引き寄せる。



「え……?」



流鬼も同じだけ身体を寄せ、向かい合った二人の腰はキュっと密着する。

玲汰が戸惑うよりも先に流鬼は玲汰の細い脚の間に片足の膝を割り込ませ、腰を抱いていた手をスルリと背後に回して、形の良い双丘に指を滑らせる。


「ちょっ…んっ」


息がかかる程間近にある玲汰の顔がその一瞬にきつく目を閉じ、口も閉じる。


だから流鬼はその唇に音をたてて、チュっとキスをした。

「玲汰のこういう声を、永遠と聞いていたいときがあるんだよな」

「まっ……ん、ぁ」


玲汰の両手が無意識に流鬼の胸に当てられ、押し離そうとする。


でも、快楽に弱い玲汰にはすでに力を込めることも出来ず、流鬼を引き離すことは不可能だった。


流鬼は薄く笑みを浮かべたまま、双丘の間に滑らせた指で、蕾に触れるとそのまま押し入れる。


蕾はビクリと震えてキュっと締め付けるが、流鬼はその抵抗を無視して強引と中指を中へと差し込んだ。


指先にクチュリと濡れた音が響く。


「……」 


だから流鬼は驚いて目を見張る。

「後始末しなかった?」


そんな無神経に聞いてくるから、玲汰は辛そうな熱っぽい顔で流鬼を見上げる。


「最後……なんて、覚えてないべ」


中で流鬼がクチュリと指を回す。

逃げようと腰を引けば中心に足を押し付けた流鬼に自身をこすり付けることになる。


だから玲汰は前にも後ろにも逃げられずにじっと耐えるしかなかった。


「ん……あ、、流・・・きぃ」


玲汰の中をクチュクチュとかき回しながら幸せを感じる。

玲汰の中はじっとりと濡れ、多く放ったであろう精液がまだ残っている。

無論多くは流れ出て、玲汰の双丘の割れ目や太ももを濡らし、乾いてカサカサしているところもある。

しかし内部は熱く、中をかき回せば残った精液がクチュクチュと淫らに音を立てていたから、それがどうにも心地よかった。


自分は確かに変態でサド、なのかもしれない。

そう思ってしまう瞬間だ。

「風呂、入らない?綺麗にしてあげるよ」


「っ…ん……」


耳元への囁き。


セリフと共に熱い息を吹きかけられ、濡れた舌先で嘗められる。

玲汰はブルリと全身を震わせ、プルプルと首を横に振る。


「玲汰?」


だから玲汰は首を傾げる。

そうして内部を弄んでいた手を止める。


「きれいにしたくないか?」

「っ……魂胆みえみえ……」

深く息を吐き出しながら玲汰が言うから、流鬼はその意味を読み取って、慌てて玲汰の内部から指を抜き取る。


「あっ……」


瞬間指を締め付けていた玲たから声があがる。

蕾は逃げる指を捕まえようとして失敗した


「魂胆判ってるならねえ。別にいいっしょ?」


流鬼はふと笑い、それからまた玲汰の耳元に唇を寄せた。


「綺麗にしてあげるって」


囁くような甘い声。

耳元に押し付けられた唇の動きに、玲汰は背中を駆け抜けるような痺れみたいな感覚に背を仰け反らせて腰を押し付けた。


「ん……」


 くずぶっていた残り火が、急に酸素を得て燃え出すように、玲汰の身体は熱くなっていた。

こうなってはもう、多分このまま眠るなんて事は出来ない。

だから少し悔しいが流鬼の胸に顔を埋めたまま、小さく頷いた。


そんな流鬼に玲汰はニッコリと笑った.






END



〜あとがき〜


これはですね。


最後に三次元生ものを扱った時に書いた某バンドの話しなんです。

すっげえ気に入ってる話で。


なんとなく流玲にぴったり、、と思って。


名前変えてみたら意外といけた、みたいな(笑)


ちゅう事で。

手抜ききわまりないですが

愛は沢山あります。


では