口付け一つでプレゼントになるなんて。


その与えられる気持ちよさ。


それだけで天国にいけちゃう。


Kiss



いつもより早い出勤。

何故かいつもの設定より早い今日。

珍しく夜仕事があった葵さんとは別々の家で寝たとか久しぶりすぎて。

眠りが浅かったせいもあって、遅刻はしなかったが案の定ギリギリだった。

「おはよー」

なんだか寝不足のせいで微かな鈍痛。

ガチャリと事務所に入ればいつもと違ってバタバタとした感じ。

つかなんだかお祭りみたいなんだけど。

「アレ?今日なんかあったっけ」

きょろきょろと俺意外のメンバーを見渡す。

そこには葵さん意外は揃っていて、俺のそんな台詞に一斉に視線を感じる。

俺何かへんな事言った?と思われる程痛い視線。

「…おい、麗」

ずかずかと寄ってくるのは長年の付き合いの幼馴染。

お前のマイペースっぷりは知ってたけど、ここまできたらアレだべ、と。

マジでわけわかんねー。

つかなんで流鬼がそんな顔してんのさ!

「…お前マジで何もわっかんねー?」

玲汰の手が俺の肩にぽんっと。

って本気でわからない自分。

玲汰〜、、うっさんの事まかしたぜ、なんてB型コンビの二人の声が遠くに聞こえる。

「お前、携帯みてみろよ」

そういわれて首傾げながらパチンと。

ディスプレイにはいつもと変わらずな画面。

メールも着信もきてないし、一体なんだと。

「日付、日付」

本気で全然気付かねー麗に乾杯だぜ俺、なんて言われてふと見ればそこには1/20の日付。



いちがつはつか。



…一月二十日!?



「アーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

とっさに出た大声。

今日葵さんの誕生日ジャン!!

俺マジでありえねえ!

先月まですっげえ色々考えてたのに!

よりにもよって忘れるとかって!

恋人の誕生日だよ!?

つーか皆ですら覚えてるのに俺が忘れるって。

「麗?」

お前大丈夫かよ、なんてゆさゆさされてはっと気付く。

「玲汰〜…」

俺すっかり忘れてましたvなんて笑顔で言ってみたら軽くデコピン。

素直にショックって言えよ、なんて言われて本気でショックを受ける。

「まー…麗らしいって言えば麗らしいけど」

正直に葵さんに言えば許してくれんべ?なんて苦笑いされる。

プレゼントなんてもちろん用意してないし。

今更俺がプレゼントvなんてキモいだけだし。

「どーしよ〜〜〜」

ヤバイ、俺マジ泣きしそう、なんて言いながら幼馴染にぴったりと。

抱きつくというか抱きしめるというか。

そんな時にがちゃりと。

ドアが開いた先にはそんなアホな俺の恋人の姿。

俺と玲汰の抱擁シーンなんぞ見て目が丸くなっていた。



気付いたらどうやらケーキとかはサプライズらしく片付けられていて。

そして残ったのは明らかに不機嫌な葵さんの姿。

仕事してる間も全然口を聞いてもくれないし、目すら合わせてくんないって。

本気で悲しくなってきた。

つーか俺のアホさに。

「おい、うっさん」

しょげてればぱこんと頭を殴られる。

「あたっ」

見上げれば流鬼の姿。

ドレッド外したこいつはなんだかちまっとしたな〜なんて思いつつもへらっと。

気付けば部屋の中には俺と流鬼しかいない。

皆何処いっちゃったんだと。

室内は煙くなってて少しだけ視界が悪い。

まるで今の俺の心の中みたいで。

「玲汰に聞いたぜ?」

ケラケラしながら考えたくなかった事を言われる。

正直心臓が痛い。

「もー…。俺ってばマイペースすぎるよね〜」

すっかり忘れてたとかってさ、なんて自分で笑いながら言って萎んでいく心。

ありえません。

よりにもよってね。

「んー…でもアレじゃん?」

なんだか急に真面目な顔になる。

流鬼の低い声は落ち着く。

萎んでた心に少しだけ膨らみが戻る。

「葵もさ、そんな麗も全部好きなんだろうし、正直に言ったら笑ってくれるって」

あ、それさっき玲汰にも言われた事じゃん。

なんだかんだで二人とも似てるんだよな〜、なんて。

葵は麗ん事全部受け止めてくれるって、なんて言われて。

どこからか来る根拠のない自信が湧く。

忘れちゃったもんは仕方ない。

ちゃんと先月までは覚えてたし、と。

大事な事は葵さんの事を好きって事。

「そうそう」

うっさんは笑ってる方がいーぜ?なんて急に悪戯っぽく言われてなんだか自分が元気になれた感じ。

流鬼ってこう言う所凄いと思う。

そして何で、ここに流鬼だけ残していってくれたのかなんて。

ちょっとだけ幼馴染を見直した。



そして帰ってきた葵さん達が、ドアを開けた瞬間一気にパンっと。

懐かしいクラッカー。

それは打ち合わせしていたらしく、玲汰と戒くんも葵さんに向けてパンパンと。

「おわっっ!?」

何やの!?なんてびっくりした顔。

でもその顔はまんざらでもない。

「ほら、一番最初はうっさんから言ってあげなよ」

戒くんのにこにこ顔。

気付けばメンバーにもバレちゃってる俺らの関係。

だから別に恥ずかしいとかそんなわけでもないのに、何故か言葉につまる。

「ぇ…ぁっ…」

言葉がなかなか出ずにいれば、横からド突かれる。

「うっさん言わないなら俺から言うぞ」

だから早く言え、なんて。

あ。

この人俺が今言わなきゃ絶対言う気だ。



それはさすがにいやだ。



「……はっぴーばーすでい、葵さん」



ただそれだけの事なのに。

俺の全身を駆け巡るような葵さん好き、なエネルギー。

もう全身が熱い。

俺いつからこんなに葵さんの事好きになっちゃったんだろ。

ヤバい。

すごい好き。

「アレ?…今日俺の…って20日?」

あー、、ほんまやなんて携帯みて日付確認する葵さんの姿。

あれ?

葵さん?

もしかして忘れてた?

そんな葵さんにきょとんとして見ていれば、ふわっと葵さんの薫りに包まれる。

「ありがとさん〜」

抱きしめられてると頭が理解したのは、俺の耳元で葵さんの声がしたから。

余り皆の前でこんな事しないから凄く恥ずかしい。

葵さんの肩越しに見える幼馴染と戒の顔と目が合って、余計恥ずかしさが募った。



「…葵さん本当にごめんね?」

くゆる煙と葵さんの香水と汗の香りに包まれてぼそっと。

いつもと違って繋がったままの身体。

結局あれから皆で少しだけ騒いで一緒に帰宅した。

葵さんの手には三人からのプレゼントやらファンの子からのプレゼントで溢れたバック。

俺からのプレゼントはない。

二人に言われた通りに素直に準備できなかった、と言えば、そんなものよりも麗と一緒にいる時間の方が大切だと。

耳元で囁かれて抱きしめられた。

そこからは気付いたらベットのシーツの白と、天井の白。

そして葵さんの髪の毛の黒。

白と黒のコントラストの中。

俺は大切な恋人と繋がり、一つになった。



それから今に至って

「んー?」

後ろから抱きしめられるようにされながら葵さんが動くたびに中にまだある葵自身が微かに動き、ぴくんと身体が跳ねる。

「ぁっ……」

ぬぷ、っとゆっくりと動くような感覚。

硬いわけじゃないから余計に変。

そしてさっき葵に出されたものが動いた瞬間微かにあふれ出す。

「麗可愛ぇな」

くすくすしながら吸っていた煙草を腕を伸ばして消す、その指先にトクンと心臓が高鳴る。

女のそれとは違った節ばった指。

でも俺の手よりすらっとしてる。

いつも嵌められているクロムのリング。

「何でソコで可愛いって出てくるんだよ」

俺今絶対顔赤いから、この体制に感謝。

だって葵さんの指に欲情したなんてさ。

「だってコレに感じたんやろ?」


くい、っと腰を揺らされれば正直な身体はひくんとふるえ、快楽を拾ってしまう。

もー、この人たまにこうだからな。

「俺真面目に謝ってんだからちょっと大人しくしてよ、コレ」

冗談交じりに言えば動きが止まる。

なしたよ、と耳元で囁かれる。

「葵さんのプレゼント」

買えなくて御免、と言えばちゅ、っと耳元に口付けられる。

ちゅくちゅくと吸われる感覚に明日はタートルネックかな、なんて。

たまに凄いつけまくられるその跡は多分葵さんの独占欲。

何だかんだで子供っぽい人だから。

「…さっきも言った通り、俺はプレゼントなんかよりこうして麗とおる時間のが最高なプレゼントやよ」

独特の訛りで言われれば、今葵さんがリラックスしてるんだななんて。

そして胸元に滑り落ちてくる指先。

「麗がプレゼント〜ってベタな事でも俺はええよ?」

くすくすした息がかかってそこからじわじわと広がる熱。

そしてあの指先に触れられたトコが火傷するような感覚。

早くしっかりと触れてもらいたくて身体を動かせば、中にある葵自身も微かに反応してる。

「葵さん…元気…っ」

俺の中で元気になっていくのを感じて俺もぶるりと身体が揺れる。

いつもだったら大きくなったのが挿いってくるから、こんな感覚初めてで。

じょじょにこじ開けられて拡がってく感じ。

「ぁっっ…んっ…」

それに合わせて内壁が淫らに蠢く。

俺の身体どんどんエッチになってく。

葵さんなしじゃい生きていけない。

「麗、も元気やよ?」

手が前に伸ばされ、気付くソコ。

すでに勃ちあがり、とろとろと蜜が溢れ始めていた。

「葵さ……、、明日…」

プレゼント買いにいこ?と言う前に葵の腰がゆるゆると動き初めて、その台詞はかき消された。



「あ、麗目ぇ醒めた?」

ふと目を開ければ端整な顔。

抱きしめられるようにされていたみたいで俺の全部が葵さんのものみたい。

お腹痛くない?なんて言われて気付く後処理された身体。

エッチで意識が飛ぶなんて事事態珍しい。

あんまりない。

だからなのか。

意識がない時にされたという恥ずかしさ。

「んー……葵さん…」

好き、と言ってちゅっと。

その大好きな指先に。

そして唇に。

「俺も好きやよ」

愛してる、と。

「……俺のが絶対愛してる」

絶対そうだ。

「…何やのそれ」

くすくすしながらふわっと頭を引き寄せられる。

ちゅ、っと。

あー、、、俺今幸せ。

「葵さんの誕生日なのに、俺のがプレゼントもらった気分」

葵さんがくれるキスって本当不思議。

それだけで俺を幸せにしちゃうんだもん。

「何言うとんのー。俺だってこうして一緒におるん幸せやよ」

明日お揃いのアクセサリーでも買おか、なんて。

俺の大好きな笑顔でそう言われた。



後日談

「なー葵〜、あん時すっとぼけたのわざとだろ」

「ぁ。バレてた?」

「んなの騙されるのうっさん位だって」

「やって、あー言わんと麗が悲しむやろ〜?」

「確かになー」

「で、それが一緒に買ったペアリングvってヤツか?」

「そーそー。エエ感じやろ?」

「でもマジでうっさん誕生日忘れてたとか凄いよな」

「アレは衝撃的やよー。事前に教えてくれてなかったら俺マジ凹んでたって」

「確かにな」

「さーって、戻るか、仕事」



そんな話がトイレでされてたとか何とか。



END


〜あとがき〜


はっぴーばーすでい葵さん。葵さんの誕生日をお祝いして3回目です、私。今年は葵麗書いたりして(笑)

何だかがっつり乙女麗もキモいんで、マイペース麗を出してみたり(笑)麗なら忘れたりってのもありかと。なんかすっごい早くから色々考えてたのに、1月に入ったら忙しくてついうっかり忘れてしまう系な(笑)しかし乙女麗がキモいとか言っておきながら結局乙女麗だし(笑)どんだけ葵さん好きなんだよ的な。

とりあえず葵さんも一歩また死に近づいたと(笑)そして葵さんが歳を食ったらわしは春にまた歳くうんだなーとしょんぼりです。


では 20070120 happy birthday AOI with Love 葉月透夜