最近自分の気持ちがわからない










「流鬼ー」

「んー?」

さっきまで麗と話してたのに気付けば近付いてきて何だかんだと俺に話かけてくる玲汰。前と変わった事なんて何一つないのに、何でかそんな玲汰の行動一つ一つにいちいち過剰に反応しそうになる。



―――――――ヤバい。


そう感じたのはつい最近。





どうやら俺は男相手にホレちまってるらしい。








「流鬼ぃ、俺の話ちゃんと聞いてんのかよ」


「聞いてるじゃねーか」



ついうっかり玲汰の顔見てたら話が素通りだったみたいで、身体を揺らされた。

たまにこいつはこんな風にすねるような顔をする。

その顔が可愛、と思う俺は終わってますか。大の男捕まえて可愛いなんて、と自分で自分が信じらんなくなる。


「で、何何?」

「やっぱり聞いてねーべ。ひでーよ流鬼ちゃん」


目の前でしくしくと嘘泣きしてるこの生き物の口からはとんでもない言葉が出てきた。





「………………は?」




なんか今泊めて?とかおっしゃってません?この人は。

「だから、今夜流鬼んち泊めてって話だべ。うち上の住民のせいで水浸しなんだよ、な?」


さっきの嘘泣きのせいで微かに濡れてる瞳のまま首を傾げられる。んな犬みたいな顔されて断れるわけもなく、俺はあっけなく敗北した。



いつもだったら早く終わらせて帰りたい仕事が、今日ほど終わらせたくなかったのは言うまでもない。






「お邪魔しまーす」


久しぶりだし、と言いながら靴を脱ぐ後ろ姿を眺めながら理性もつかなぁ、と考える。


「まぁ、適当に座っとけよ」

部屋散らかってなくて良かった、と胸をなでおろしながら冷蔵庫から小岩井を取り出す。
グラスとジュース片手に戻るとそこにはベットに寛いでる玲汰がいた。


「何寛いでんだよ」


少し乱れた髪にドキドキしてしまう自分。


「床よりこっちのが落ち着くんだよ」


言いながらゆっくり起き上がる玲汰に正直みとれてた。

「流鬼ー?俺の分もあんだべ?」


ちょこんとベットの端に座る姿で腕を伸ばされてはっとした。
こいつってこんなに色っぽかったっけ・・・。
ぜってぇ誘ってるとしか思えねえし!


いや、まてまて、俺の理性。


「・・・ベットの上じゃ零すかもしんねえし、こっちにこいよ」


逸る心臓の音が聞こえてしまわないかとドキドキしながら至って落ち着いてるように声をかけ、床にくるように促す俺。


「わーったよ」


俺の促しにするっと玲汰はベットから降り
事もあろうか俺の横に座った。


それもぴったりとくっつくように。


「・・・・・玲汰さーん、ちょっと近すぎじゃねえ?」


確かにそんなに俺の部屋は広くはねえけど、何で俺の横にこんなに密着してんだよ、襲うぞこのやろう、、と瞬時に考える流鬼。

そんな流鬼の考えをもちろん知るわけもない玲汰は至って普通に笑顔でこう答えた。

「いいべ、別に減るもんじゃねーべ?俺流鬼とくっつくの好きだし」


にこにこ、と言う言葉が一番合うかもしれない。


「・・・・・・・・」


好き、と言う言葉に過剰反応してしまい黙ってしまう。

そんな流鬼の反応に玲汰は流鬼の顔の前で手をひらひらさせる。



「流鬼ー?俺なんか変な事言った??」



「・・・・や、言ってねえ」


ようやく口から出たのはそんな台詞。


年甲斐もなく顔が熱くなるのを感じる。


くっつくのが好き、といっただけで、何も俺の事好きって言ったわけでもないのにマジで嬉しくなる。

にやつく顔をどうにか治めたくて口元に手を持っていき深呼吸をばれないようにしているとふいに真面目な顔した玲汰に名前を呼ばれた。



「なー、流鬼」

「何?どうした?急に真面目な顔して」


つられて俺も真面目な顔になり向き合う。

でもなかなか言いたい事を言おうとしない玲汰。



チ、チ、チと時計の音だけが響く部屋。



あー、なんでコイツこんなに真面目な顔してんだろ、つうか俺コイツのこう言う顔も好きなんだよなー、なんて思ってたらつる、っと口が勝手に動いてた。




「・・・・好き」


と。



「俺流鬼の事が・・・・ぇえ?」



沈黙を破ったのはそんな俺の間抜けなぼやきと何かを言いかけておいて俺の告白にびっくりした玲汰だった。





「流鬼、今の・・・マジ?」


何鳩が豆鉄砲くらったような顔してるんだよ、ってヒヨコか。


って俺告っちまってるじゃねえか!!!


ごまかしきかねえ、とぐるぐる考えてる間に玲汰はみるみると赤くなっていった。


あれ?もしかしてこの恋実っちゃう?


俺の勘違いじゃなきゃ結構いけそうじゃねえか??
当たって砕けろ!男は度胸だ!


「俺、玲汰の事マジで好きなんだよ。友達とかメンバーとかとしてじゃなくて、LOVEの好き。もちろんキスもしてえし、セックスだってしてえ、好き」


一気に言って見つめればそこには真っ赤になった玲汰。



「気持ち悪ぃ?」



何も言って来ない玲汰にぼそっと言えば、それまで黙ってた玲汰が首を横にぶんぶんと振った。


「ぉ、、れも・・・流鬼が、好き、・・・」

「マジ・・・?俺ら両想い?」


思わず確認してしまうと、ぶんぶんと首を立てに振る玲汰。


「やっべ、、今マジで嬉しいし」



自然と顔が緩みじっと見つめる




「それは俺の方だべ・・・」
指を絡めるように手を繋ぎ、俺らは初めての口付けを交わした。





END