正月休みが終わったからと言って、暇になるわけでもなく、忙しいままである。
どれだけ忙しいかって、もう毎日俺何のために働いてんの、とため息が出る程忙しい。
クルクル働いて取材を受けて、最後にギターに触ったのはいつだろう。
ふとそんな思い。
ギターどころか恋人とすらろくに話をしていない。
それだけ忙しい。
「…葵さん随分溜息ついてんじゃん」
今日も仲良く流鬼とお仕事。
最近この顔も見あきたというもの。
結局二人でこなす仕事も結構あるから仕方がないとは言え、昨日も今日もこいつと二人。
こいつの金髪も見あきたというもの。
どうせなら可愛い俺の金髪頭を見たい。
「…何俺見つめてんの」
俺は玲汰じゃねーぞ、なんてからかわれてますます落ち込む。
「ァー…流鬼ィ…」
「……んだよ、きもちわりいな」
俺だって麗に逢ってねェんだから我慢しろ、なんて言われて。
はい、そうですなんて素直に言えない。
だって俺また一人でアメリカまでいって仕事して、帰ってきたら撮影ラッシュだなんて。
「ぁーーーもう玲汰が足りないーー。玲汰が足りやんのー」
「…葵さんってさー…玲汰の事となるととたんと子供みたいになるなぁ」
苦笑いしながら言われて。
「…玲汰の前じゃしっかりしてんやからええやん」
流鬼だって欲求不満だろ?なんて言ってやればまあな、なんて答え。
不満も不満だ。
四捨五入したら三十路とは言え、まだまだ性欲とかあるし。
「まあ、そんな葵さんに朗報だぜ?20日は休みだって。全面オフ」
麗に言って玲汰ココにつれてこいって言ってあるからよ?と言われて今更自分の誕生日がもうすぐそこと言う事に気づく。
「……今何日や…」
携帯見てそこには19日の文字。
もうすぐ誕生日やん、の前にもうすぐ玲汰に逢える。
そっちのほうが俺にとっては一大事だった。
「ちーっす」
仕事ももうすぐ終わり、と言う時間帯。
今すぐにでも聞きたかった声がする。
「お、丁度いいタイミングじゃん」
時間にルーズな麗にしちゃすげえな、なんて流鬼と麗の言葉も耳に入らない。
「葵さん。仕事お疲れ様」
微かに首傾げてそんなねぎらいの言葉を掛けられて。
外から直行できたのか、その白い肌が微かにピンクかかっていて。
あまりの可愛さにクラクラする。
いつもマフラーで口元まで隠してるその格好は男前とは程遠い。
それなのに、ポケットとかに手を入れて粋がってるとしか思えないその相手の行動には本当に可愛いとしかいえない。
「玲汰こそわざわざ迎えにきてくれてありがとさん」
余りのうれしさに自分は座ったまま相手の腰を引きよせそのまま強引に頭を引きよせ軽く口づける。
「んっ…ばっ…」
人いるべ!なんて真っ赤になりながら口元抑える恋人が心底愛おしい。
「いいじゃん、流鬼と麗しかいないんだし」
久々に玲汰に触れたと言う事実からか少しだけ甘えた声で言えば、それでも真っ赤な顔して周りが気になるのか慌てて逃げようとする。
「……チッ。仕方ねェなぁ…」
後やっといてやるからお前らもう帰ればー?なんて流鬼に言われて。
「んー…でも俺の仕事やからなぁ…」
玲汰は逃げやんし、待っててもらう、なんて何気なく言えば。
何故かさっき以上に赤くなってる玲汰に首をかしげてしまった。
「終わったー」
さーって、帰ろうや、と迎えにきた二人の方を見れば、そこではすっかりDSで盛り上がってる二人。
どこにいてもゲームが好きとか現代っ子やなぁ、なんて年寄りくさい考え。
自分も多少するけど、こいつら二人ほど夢中になることもないからある意味微笑ましい。
「玲汰、終わったから帰ろう?麗も流鬼すぐにくるよ」
くい、っと腕をひっぱり立ち上がらせれば、ピコン、と言うゲームを終了させた音。
そしてこの幼馴染特有の二人の空気の間には流石に俺ですら入っていけない。
たまにそれにすら嫉妬してしまいそうになる。
それほど玲汰の事を好きになってしまってるのだ。
「葵さん、今日何くいたい?」
道すがらきかれて。
作るのはいつも俺だからそんな事聞かれることなんてないのに。
「ん?玲汰こそ何が食いたいん?」
逆に聞いてみれば肉、なんていつもの答え。
「じゃあ、肉のあとに玲汰を頂きたいかな、俺は」
冗談めきながらそう呟き相手にそう言えばとたんに真っ赤になる相手。
麗から昔の話を聞いてもそんなにも赤面症とかは聞いていない。
だったらこれは俺にだけ、と。
「…葵さんそれめちゃくちゃキザすぎるし」
でも、今日は葵さんの言う事何でも聞いてやんべ、と。
「…じゃあ、今日はうちに帰ったらイチャイチャしような?」
そんなセリフにすらこくん、と頷き赤くなる姿が愛おしさを増させた。
「そう言えば、さっきなんで赤くなったん?」
食事もおわり、まったりしながらテレビを見る。
そんなとき、ふと思い出した先ほどの玲汰の赤面。
どうしても気になってしまい、ふとした拍子に聞いてみればきょとんとして。
「や、だから俺が仕事するから待ってて、って言った時なんで赤くなったん?」
ちゅ、と頬に口づけながら相手にそう問えば、再び赤くなる恋人の頬。
「あ…あれは…」
言いにくそうにする相手を引きよせて唇を啄ばむ。
薄い唇をちゅくちゅくと音をたてながらその唇を味わっていく。
すぐに相手の口端から甘い吐息が溢れてくる。
「…玲汰…ベット行こうか」
相手の耳元で低く囁きながら相手の身体をふわりと持ち上げた。
2008.1.20
HAPPY BIRTHDAY AOI WITH LOVE
〜あとがき〜
葵さん誕生日第二弾は葵玲です。葵玲って読むんですけど、書かないので新鮮でした。そしてエッチはちょっとアレなので(苦笑)結局玲汰受けは流玲が一番なんですよねー、。
とりあえずこれまた誕生日おめでとうございます!いつまでも池メンで居てください。