「ん……」
ふとした動きに目が覚めてしまい、うっすらと重い瞼を開けた先に映る金髪の存在。
そして腕に感じる重みに今自分の部屋で、いつものように一緒に布団に入ったんだな、と。
ベット脇にあるデジタルの数字が示す数字は3時過ぎ。
明らかに夜中で、まだ自分達が眠りについてから一時間もたっていないことを示していた。
カーテンから漏れる月明かりに照らされて浮かび上がる横顔。
ちょっと前より明らかに痩せたはずなのに、そのフォルムは丸みを帯び、むしろ柔らかくなったと言える。
少し短めに整えてある金髪がふわふわと揺れ、まるでコイツの全部を示しているかのようで。
自分の方を向いて閉じられてる瞳。
夢の中で果たしてその瞳は何を映し出しているのだろう。
空いてる方の手でゆっくりとその頬をなぞり、唇に軽く触れる。
上唇から下唇にかけてゆっくりと。
うっすらと開かれた唇からは微かな吐息が漏れ、まるで誘っているかのように思える。
「……流、鬼…?」
そんな俺の指の動きに案の定起きてしまった玲汰の掠れた声。
さっきまであんなにその閉じられた瞳の中を見たかったの、今はそれがゆっくりと開かれることに罪悪感。
なのに、そこに現れる憂いを含んだ漆黒の瞳に自分が映し出されたと思うだけで、精神が悦びを叫ぶ。
「ぁ、わりい、起こしちまったな」
ちょっとした罪悪感から相手の目を覆うようにしてその視界を遮れば、クスクスとした静かな笑み。
そしてそのままその手をゆっくりと下にずらされ、さっきまで触れていた唇に軽く押し付けられる。
「…流鬼の不眠症復活?」
口元を隠すような感じで、その目だけが俺を捕らえて離さない。
迷う事もなく、確実に俺だけを真剣に映し出すソレ。
そこに果たして真実の俺がいるのか。
それともいないのか。
「不眠ってわけじゃねえけど…」
目が冴えちまった、と。
こんな時間で、身体は本当に疲れて休養を必要としているのにも関わらず冴えわたる思考回路。
「またどうでもいいこと考えてんじゃねーの?」
俺が抱き枕になってんだからそんなの忘れちまえよ、と言われて。
そのまま自然と自分の指先が相手の顎を捕らえて軽い口付け。
乾いた互いの唇が触れ、徐々に深いモノへと変化させる。
舌先で相手の唇をなぞれば、じらすようにうっすらと開かれる隙間に遠慮がちに。
いつもと違う感じにゆっくりとゆっくりと口腔内に舌先を差し入れれば、まるで痺れを切らしたように絡んでくる相手。
「んっ…ふっ…」
相手の頭の下にあった腕で、後頭部を押さえ込み自分の方に引き寄せれば、その動きを察して、玲汰の腕が首に巻きついてくる。
その動き一つ一つ全てがまるでスローモーションのように思えるほどに玲汰の動きを身体が全て敏感に感じ取っていく。
互いの蜜を混じり合わせながら玲汰の口腔内をかき回し、上顎をなぞる。
「っっ…ァ…」
玲汰がソコが弱いのを知ってて舌先で擽りながら手でうなじをなぞる。
すっきりして短くなってしまった髪の毛に指先を埋めながら肌に直接触れればすぐに肩がピクンとはねる。
「…ふぅ」
唇から名残おしく離れれば、微かに頬を染めた恋人の姿。
そして互いの早くなった鼓動の音。
「…俺とのキスで寝れそうになった?」
ったく、激しすぎだべ、と言われて潜り込む玲汰の腕をぐいっと引き上げて。
「お互い寝れなくなった、の間違いじゃねの?」
お前誘うの上手になったよな、なんて言って指先を喉仏からツツツとしたにずらして鎖骨をなぞる。
そして骨のラインに沿ってその感触を味わっていく。
以前つけた跡をたどるようにして指先を滑らせればひくん、と喉が鳴る。
「……流鬼、が…誘って欲しそうだったから…」
じゃなきゃこんな事しねぇよ、と。
付き合い初めてから結構な月日がたち、お互いの関係を築いてきた中でも玲汰はあくまで俺と対等でありたいと願ってきていた。
そしてそれはこんな時にすら。
上下の立場の差こそあれど、それは些細な問題でしかないように。
「……俺、玲汰の恋人でいれてすげえ幸せだわ」
お前の事マジ愛してる、と。
自然と生まれてくる言葉と笑み。
こいつと一生こんないい関係でいれたら最高な人生になる。
そんな確信。
「……お前、、マジこう言う時気障」
首まで真っ赤にして目を丸くしてる玲汰を押し倒すようにして口付けた。
「ァっっ…」
胸元をゆっくりと愛撫しながらその身体に丹念に口付けていく。
身体中俺の証とばかりに赤い華を散らし、刻印していく。
「ば……っっ」
撮影どーすんだよ、と言う文句が聞こえるも、やめる気はなく、そのまま吸い付き、舌先で肌を刺激していく。
白く決め細やかな玲汰の肌がしっとりと憂いを含み始め、きつく吸うたびに腹部がヒクリ、と動くのを感じて。
自分に染めていくのがこんなにも自分自身も満たされていくなんて。
「まだ、触ってねえのに、コッチこんなにしといて撮影とかどーでもいいだろ?」
自分の身体に当たる玲汰自身の昂ぶりにニヤりとして顔を上げれば、いつもの鋭い眼光ではなく、まるで懇願するかのように潤んで柔らかい瞳。
「だから…!!」
流鬼に触られるとこーなっちまう、と普段なら絶対に口にしないような言葉を紡ぎ、俺を煽る。
「今日は素直じゃん」
たまにはこういうのも悪くねえな、と。
下に手をかければ、協力してくれてるかのように腰を浮かされ、下着ごとスエットを脱がす。
すら、っとした肢体にいつも見てるのに、今日はいつも以上に愛おしさを感じてしまう。
きっと玲汰がいつもより素直だから。
優しい気持で溢れている。
「玲汰の肌って本当綺麗だよな」
陶器みてぇ、とその内腿に舌先を這わせる。
滑らかで、女みたいに柔らかいわけでもないが、しっかりと締まり、硬すぎない。
なぞるたびにひくひくと震える身体が玲汰は全身が性感なんじゃ、と。
「っっ…流、鬼…っ」
さっきから肝心な所には一向に触れずに口づけて跡を残していく俺に痺れをきらしたのか、ちょっとだけなきそうな声で名前を呼ばれる。
「んー?」
玲汰が俺にどうしてもらいたいかちゃんと聞きたくてあえて間延びした声。
ふと視線を玲汰自身に移せば、すっかりと天井を向きフルフルと震える玲汰のソレ。
太股を舐めるのを止めて、それにふ、っと息を吹き掛ければブルりと振るえて可愛く甲高い声が漏れる。
「……まあ、今日は許してやるよ」
そして俺は玲汰の蕾に手をかけた。
「流鬼っっ…!?」
びくん、と跳ねる腰。
フェラはよくするけど、そこを口でやると言うのはあまり多い事ではないせいか咄嗟に逃げようとする玲汰の腰をぐいっと引き寄せる。
「へー、、、玲汰のココってピンクで綺麗だな」
じっとまるで視姦するかのように見つめながらそこを指先でつつく。
まだ硬く閉じているソコにいつも俺自身が飲み込まれている事を考えるだけでゾクゾクする。
「ばっっ…!!」
羞恥から身を捩り、その視線から逃げようとする玲汰。
それでもそこを見つめるのを止めずに指先で入り口をゆっくりと形を確かめるように撫でていく。
「ッァ…っ…」
滑りを本来帯びないソコはそれだけではやはり滑らない。
でもヒクりと震えるのに、まるで自分の指先を誘うようで。
そ、っと舌先を這わせ自分の唾液を含ませていく。
くちゅ、っと音をたててそこを濡らしていけば、やわやわと解れていく。
指先をツプンとそれに合わせて挿し入れていけば、そこの中は熱くうごめいていた。
そのままグルりと指先を回し内壁を感じるようにすれば、それに合わせて指先を痛い程に締め付けられる。
「……痛ぇ?」
そんな玲汰の反応が可愛くて、わざとそんな事を聞いてみる。
指先で中を解していくかのようにゆっくりと丁寧に動かし、玲汰のいい所を探る。
そして玲汰の言葉を待つ。
「痛いならやめっけど?」
クスクスしながらそんな言葉を言えば、フルフルと首を横にふられる。
「……気持ち、イイ…」
だからやめるないで、と囁かれて。
言ってから恥ずかしさに顔背けて。
「……玲汰、お前…すげえ可愛いって自覚してる?」
最高なお誘いだぜ、コレ、と玲汰の中にある指先を曲げて内壁を刺激した。
「わりい、今日優しくするつもりだったんだけど、俺が無理だ」
丁寧にソコを解してからゆっくりと繋がるつもりだったけど、俺が無理。
かなり限界で、玲汰が早く欲しくて仕方がない。
あれだけ煽られて我慢出来る男がいたら、それは不能だと言い切れる程に興奮していた。
「流鬼……」
そんな俺に心配そうな瞳を向けられ、ふ、っと笑みを零す。
「大丈夫、痛くても直ぐに気持よくなるだろ?」
耳元でそんな事を囁けば、馬鹿、と。
コイツが馬鹿って言うときはたいてい照れてる時で。
そして痛くてもその後に訪れる快楽を玲汰の身体は覚えていて、それだけで反応してる玲汰の身体。
「コレ使うから、さ」
片手でベットサイドからボトルを取り出し目の前でユラユラ。
最近はあまり使う事もしなかったソレ。
玲汰に見せ付けるように玲汰の足の間で膝立ちになって、自身を取り出す。
その動作をじっと見つめられてある意味コレも快楽なんじゃ、とちょっとした変態にでもなった気分。
自身はすでにガチガチになっていて、我ながら若いな、と。
それに上からトロりと、ローションを垂らしていく。
そんな動きに玲汰の息を飲む音。
「……興奮した?」
今からコレで鳴かされるんだぜ?なんて舌なめずりしながら言えば、は、っとしたように目を見開かれる。
そして本日何度目かの馬鹿、の台詞。
「俺は、玲汰が欲しいけど…」
玲汰は?と低く誘うように問いかければ、その頭が縦にふられて小さな声で欲しいと囁かれた。
性急に繋がったそこはありえない位に俺自身を締め付け、玲汰と深く繋がってるのを脳裏に強く焼き付ける。
余すトコなく深くまで楔を打ち込み玲汰の息がある程度整うのを待ってからゆっくりと抽挿を繰り返す。
ギリギリまで引き抜き、また最奥まで突き上げていけば、玲汰の身体に力が入り、その手がシーツを握り締めてシーツに波を生ませる。
「玲汰…」
手ぇ、コッチ、とその両手を自分の方に回させ、そのままゆっくりと腰を揺らして玲汰の内壁を擦り上げる。
カリが内壁に引っかかるような感じのトコで浅く動かしたり、一気に奥まで突き上げたりとリズムを変えながら攻めていけば、じょじょに玲汰の口端から漏れ始める甘い声。
「ァっっ…んっ…ぁ…っ」
めったにない玲汰の我慢できない声に、俺の意識も一気に高いところまで引きずられていく。
コイツの全てを俺が求めていて、コイツもまた俺を求めていて。
身体も精神も全てが溶けて一緒になって漂うかのような錯覚に陥る。
ソレが俺の感情なのか、コイツの感情なのか。
わからないまま、俺は一気に玲汰の中で俺の欲望を放った。
「流鬼…」
俺も愛してる、と最高の笑みの中玲汰に言われて。
愛してる、なんて言葉。
愛を信じてるけど、純粋に信じるには自分は大人になりすぎた。
それでも、こうして愛を確かめあう。
「俺が、流鬼のドロドロしたもん、ちょっとでも受け止めるからよ」
真剣な瞳を向けられ、達ったばかりの玲汰の中からズルりと自身を引き抜く。
それすらも玲汰にとっては刺激なのか、ブルりとふるえて吐息を漏らされる。
「玲汰…」
どこまでも純粋で、何処までも綺麗なコイツ。
「流鬼は……一生俺だけを愛してくれればいい」
俺も一生愛してやるから、と言われて。
そんな玲汰の言葉に俺の中の何かが溶けていった。
「ぁ―――!!」
流鬼てめえ、跡付けすぎなんだよ!!と朝二人で風呂に入ればその全身に散る跡に玲汰から鉄拳をくらう。
そして、シャワーを浴びた俺が背中への激痛を感じてふと見てみれば、そこには玲汰の爪でついた跡。
「ぁー…でも、それは玲汰だって…、なあ?」
コレ見てみろよ、と振り返り。
「…ぁ…」
そんな明らかに俺にしがみついてました、って跡に赤面した玲汰が本当に可愛いな、と。
俺と同じなようで同じじゃない。
最高のメンバーで、戦友。
そして
俺の愛する人。
END
〜あとがき〜
久々にちょっとシリアス調に流玲を書いてみました。
丁度一年前にわしにガゼの同人サイトを始めちゃえ!と思わせた流玲です。
流玲に対する想いは、葵さんファンの自分とはちょっと違う次元で、誇れるもんだと思ってます。
そしてそんなわしの自己満足サイトに足を運んでくれてる皆様に本当に感謝です。
丁度一年前。。。
日本武道館で感じた事全てが繋がってます。
これからもアホな事ばかりしますが、よろしくお願いします。
葉月透夜拝
20070507