強く 感じて
強く 抱きしめて
これから 始まる 時を
胸に 抱いて
胸に 描いて
始りの 鐘が 鳴るよ
UP
TO YOU
窓の外はまだ暗い。
じょじょに慣れてきた目をこらすと、隣にはまだ寝たままの流鬼の横顔。
まるで守られてるかのように抱きしめられてるのに気づく。
一緒に寝る時はいつもこうされる。
気づいたらこうされるのにも当たり前のように慣れた。
嫌がってたのが嘘のように安心する。
トクントクントクン
耳を凝らせば、規則的に時を刻む流鬼の生きてる音。
人間はこの音を感じると落ち着くと、言う。
だから俺はこの音に包まれていつも幸せな気分になる。
寝る前まで繋げていたせいの身体のダルさも、この極上の時間の中、相手への溢れる想いで許される気分になる。
まさか二人が出会ったときは、こうなるとは思ってもいなかった。
馬鹿騒ぎして二人で悪いことも沢山した。
昔は一生付き合ってける悪友になると信じてた。
でもお互い好き合って。
神様は残酷だ。
こんなにもコイツの事を好きになるように仕向けるなんて。
暗闇に慣れた目で横顔を見る。
最近シャープになってますます男らしくなってきた、と思う。
そして前以上に優しくされるようになった。
一つ一つに・・・・・愛情を感じる。
今だって、俺に腕を貸しておきながら、ちゃんと動けるようにもう一方の腕は腰に緩く回して抱きしめて。
でも決して強くなくやんわりと包み込むように。
流鬼全部に包まれてる気になる。
目を瞑ると俺の全てが流鬼になるようで。
こいつとならこれからの未来を描いていける。
気づけばうとうとしてたみたいで、目をゆっくりと開けると、世界は紫だった。
カーテンの隙間から溢れる紫の世界。
そしてさっきまでは寝ていたはずの流鬼の視線。
「・・・まだ早ぇし、寝てろよ。まだ集合には早い」
寝起きでまだ低い声が脳裏に響く中、髪の毛を梳かれる感覚。
最近の流鬼の癖なのか、よくされるそれ。
気持ちいい、と受け入れられるのも流鬼だから。
いつまでたっても撫でられてるのに目を開けると、そこには見てしまった自分までが真っ赤に照れてしまいそうになるほど、優しい目をした流鬼の顔。
「・・・流鬼こそ、ライブまで時間あるし、寝たほうが、、、いいっしょ・・・?」
見なきゃよかった、と後悔しても遅く、すでに熱を持ってしまった頬は隠せず、頭上からはくすくすとした笑い声。
「んー・・・・何か目ぇ覚めたし・・・」
ガラにもなく、緊張してんのかな、と流鬼らしくない台詞。
緊張してんのは俺だけじゃなかった。
やっぱり俺ら、だよな、と。
そう、俺らは今日、憧れの場所に立つ。
尊敬する先輩達が立ってきた場所に。
外からは微かに鳥の鳴く声
時間が少しずつ過ぎるに従い部屋の中に零れてくる色が紫から少しずつ赤く変わってくる。
「玲汰、、俺玲汰の横で歌ってられるのが、すっげえ嬉しいから、今」
そんな光に溢れてきた空気の中、流鬼からの絞るような告白。
「・・・・俺も、、、」
なんとなく俺は滲んでくる景色にそれだけを絞りだし
流鬼の胸元に顔を埋めた。
このままずっと先も
皆と一緒に
音楽していけたら
それだけで最高
そしてこれからも一緒の時を刻む
未来は自分達で描くもの
「玲汰、俺一生音楽で生きてくし、、お前も離さねえからな」
今日は単なる通過点だ、これからも一緒に高いトコまで昇ってくぞ。
そう祈りのように耳元に届く言葉。
俺は抱きしめられながらも、俺の想いも届かせるように腰に腕を回して抱きついた
外は気づけば眩い光に包まれていた
「・・・・っ」
キャーと、言う甲高い歓声の中に混じって溶けていく俺らの作り出した音。そして未成年の最後の音が溶け切った瞬間。
不覚にも俺の目からは涙が溢れた。
今までの色々な事がフラッシュバックのように溢れて、そしてこれからくる未来が流れて。
今この瞬間、流鬼と一緒にいて、
一緒に音を作って
この世界を作り上げて
例えもし愛情、と言う枠がなくなっても
音楽、という世界では繋がってる。
俺は
確実に
こいつと
こいつらと
新しい扉を
開いた
END
〜あとがき〜
スイマセン
日武で雨が降っていたのもがっつり知ってます!
めちゃくちゃ朝焼けどころか雨とお友達だった事も。
でも、昨日のライブで感じてすごくこの曲を思い出しました。
私自身、終幕してから初めてジャンプしたんです。
ジャンプ出来たんです。
私の愛してるバンドはちゃんとココでも生きてるんだ、って。
ただそれだけです。
駄文でマジすいません・・・・・