その唇に誘われて

酔わされて

むしろ麻薬のよう



Voice



「ふー・・・」

仕事を終え、一人で部屋に帰る。

自分の誕生日前日だと言うのに、何気ないそんな夜。
いつもなら隣にいるはずの彼は

今日は仕事で帰れない、だった。

何となくきてしまった流鬼の部屋。

自分の部屋に一人で帰りたくなくて。

ここなら流鬼の匂いに包まれる。

もらった合鍵で入った。

いつもだったらそんなことしないのに、何故か・・・

その鍵を使って中に入った。

さっきまで一緒にいた葵さんは気を使って呑みにでもいくか?なんて聞いてくれたけど、そんな気にもなれずに。

結局ここにきてしまった。

そしてベットに丸くなる。

流鬼の事こんなに好きなのは自分だけなのかな、なんてくだらない事考える。

仕事だ、ってわかるけど、どうにかならなかったのか。

想いが通じあってから迎える3度目の自分の誕生日に一人だった。

「普通仕事どうにかして恋人のトコに駆けつけるもんじゃねーか?」

ふっと出てきた言葉。

ここのとこ露出も多く、音楽以外の仕事もぐっと増えた。
そしてそれは、俺なんかよりもフロントマンである流鬼にはもっとのしかかっていて。

二人でいる時間は多いようで、全然減っていた。

そして今日も

流鬼は流鬼じゃなきゃ無理な仕事を任されて。

帰宅はどうしても日付を超えてしまう

そう告げられた。

でも素直になれずに、仕方がねえべ、としかいえずに。
もっぱらそんな強がりに気づいてくれるのは葵さんだったり、麗だったり。

流鬼は別になんとも無いように今日も仕事に出かけていった。


ち、ち、ち、と時計が時刻を刻む音。

気付けは時刻は23時を回っていて。

もちろん主のいない部屋にはやっぱり主はおらず。

部屋の中はひんやりとしていた。

でも枕からは嗅ぎ慣れた流鬼の匂い。

何となく流鬼に抱きしめられてるような気分になってくる。

そして

流鬼を思い出す。

「・・・・」

匂い嗅いだだけで心臓の鼓動が早くなるなんてどんだけだ。

微かに身体が震える。

そして身体の変化。

「おいおい、マジかよ・・・」

自らの身体の変化にびっくりするのは玲汰。
確かにここ最近随分ご無沙汰だった。
でも、それはないだろと。



そんな時だった。



「うわっ・・・け、、携帯どこだ」

ぶるぶると振動しけたたましくなる呼び出し音。

それはらしくもなく流鬼専用、で指定されたソレ。

「もしもし・・・?」

携帯に出る瞬間少し戸惑った。

見えてもいないはずなのに、この身体の変化を悟られないように。

『もしもし玲汰?俺』

そんな動揺にも気付いてないのか、普通な流鬼。

俺、なんていわなくてもその独特の安心させる声でわかるっての、と突っ込みたくなるのを押さえながらなんだべ、とやっぱりその声はそっけない。

でも、そんな玲汰の反応を予想してたのか、くすくす聞こえる流鬼の声。

『・・・玲汰の傍にいねえじゃん?今。だから淋しぃんだよ、俺が』

そして電話から聞こえる流鬼のそんな台詞。

「俺も・・・淋しい、かも・・・」

素直に言葉が出た。


「・・・」


10秒、20秒、と無言が痛い。

何か俺変な事いったっけ、って十分言ってるか、なんて。

「流鬼・・・?」

沈黙に耐え切れずおそるおそる名前を呼ぶ。

『玲汰―・・・お前かわいすぎだし』

きっと顔赤くしてにやける口元隠している流鬼、そんな顔がふっと頭をよぎる。

「可愛いわけねーし」

『・・・自覚なしなのが怖いよな、玲汰は』

めちゃくちゃ耳に響く低い声。

つきん、とする身体。

「自覚、って何・・・」

上ずる声。

流鬼はそれを見逃さなかった。



「っ・・・・」

『ほら、もっと脚開けよ?』

電話を肩に挟み両足を広げる。

既に流鬼の声だけで主張を始めているソレ。

指を伸ばせばふるっと震える腰。

『もう勃ちあがってんだろ?あー、でもそれ触っちゃ駄目な』

くすくすと電話越しに聞こえる声。

それにすら反応してひくつく身体。

どうしてこの人の声は自分の身体をこんなにさせるのか。


声だけで。

まるで麻薬みたい。

足りなくなると

身体にぽっかり穴が開いたみたいに

禁断症状が

出る。


「流・・・」

『何〜?』

玲汰の切羽詰り始めた声ににやつく流鬼。

『指、嘗めろよ』

出来るだろ?なんて言われたらすんなりと動いてしまう身体。

相手に聞こえてしまうであろう、と頭は働いてても、その声に自然と酔ったように身体が動いて。

くちゅ、と音をたてて口腔内で指を動かす。

流鬼の唇を想像して。

「んっ・・・ふ・・・」

『そうそう、上手じゃん』

ただそれだけなのに、凄く褒められたような気がして。

必死でしゃぶる。

聞こえてくるのは

濡れた音と

自分の荒くなった息遣い。

そして流鬼の声。

「る、、き・・・」

『もう、いいぜ』

次はわかってんだろ?なんていわれて。

その声に夢中になる。



麻薬。



「ん・・・・」

『もっと脚ひらけよ・・・?んで奥までな』

その声に魅せられて

気付けばいわれるがままに嘗めた指を後ろに這わす。

おそるおそる触れれば、ソコはすでにひくついて。

自分の指だって言うのに何かを待っていた。

「流鬼・・・」

『怖くねえし・・・俺の指だと思って』

くすくす聞こえる声すら身体が感じる要因で。

その声を聞くたびにソコがさらにひくつかせる。

自然と、流鬼が普段するように入り口をなぞってた。

「ふ・・・ぁ・・・」

くぷぅと指を体内に埋め込んでいく。

指先で感じる体内の熱さ。

そして蠢き。

「ぁ・・・・」

『そうそう、、そのまま中で指曲げてみろよ』

すでに頭は麻痺して思考回路を働かせない。

流鬼の声に誘導されるがままに中でくいっと指を曲げた。

「ぁっっ!!!」

それはダイレクトに脳に響く。

いわれた通りに動かせば、それは直接的に下腹部に熱を集まらせる。

『玲汰のこれ、まだ触ってもねえのに・・・ぐしょぐしょだし』

囁かれる言葉にますます硬さをもち、先端からは蜜を零し始める。

それが伝い、ますます後孔から濡れた音が響く。

『滑りよくなってきただろ・・・?指、増やせよ』

玲汰、と熱っぽい声がすれば、自然と指は増えて。

そして脳は勝手に流鬼を想像する。

流鬼の指を

「ぁ・・・ん、、く・・・」

そのたびに内壁は指先を締め付けいいところに誘おうとする。


俺の身体ってこんなに淫乱だったんだ、と。

『玲汰、もっと声、聞かせろよ』

「ん・・・」

電話越しに聞こえる声は少し荒くなっている。


その声はますます玲汰の身体を興奮させた。

俺に興奮してくれてる

そう思うだけで

「ぁ・・・んん・・・」

『中拡げるようにしてみろよ、んで左手で、乳首摘んでみろ』 

「っっっ・・・!!」

体内に流れてくる冷たい外気。

それと共に今まで全く触られる事のなかった胸の突起への刺激。

ひくつく内壁。

「ぁ・・・んん・・・」

今ここにはいない流鬼が欲しかった。

満たしてくれる存在が。

溢れてくる感情。


想い。


「流鬼―・・・・」

滲んでくる視界の中必死に指を動かすもその身体は熱を放出できなくてもどかしい。

『玲汰・・・』

いくら指を動かしてもいけない身体。

流鬼と付き合い始めてから

いつのまにかこんなに弱くなってしまったのか。


好き


好き


好き


「流鬼―・・・今すぐ、欲しーーー」



「玲汰」



「ぇ・・・・?」

携帯からの声と生の声。

「仕事・・・・は・・・?」

自分の今の格好なんて気にせず見上げれば、そこには求めていた人。


「Happy Birthday、玲汰」



「ぁっ・・・!!んんっ・・・流・・・!」

ジーンズを脱いだ流鬼の膝の上に乗せられ、玲汰の脚は流鬼の背後に伸び、踵でシーツを蹴っていた。

固く、太い流鬼のモノが、蕾をこじ開け狭い内部を押し広げる。

玲汰の奥のいい処を何度も何度も突上げる。

玲汰は狂ったように頭を振り、腰を捩る。

そして流鬼の首にしがみつき更なる快楽を自身でも引きずり出そうとする。

身体を上下に揺すり、捻る。

そして熱く内部を焼く流鬼自身を締め付けた。

「はっ・・・んっ・・・流鬼・・・っっ」

秘処に流鬼の先端が触れたとき、そかはすでに暴発しそうなほど熱かったのに、どんなに締め付けようと、どんなに擦ろうと、流鬼自身は膨らみを増すばかりで。

達こうとしない。

玲汰は激しいめまいに襲われながらも、夢中で流鬼を貪った。

「っ・・・んんっく・・・」

「・・・・」


ピン、と張り詰めた玲汰の背中に片手を添える流鬼は、けれども玲汰に反して冷静な目をしていた。

息は上がってはいた。

でも狂うように悶える玲汰の全てを見逃すまい、と嘗めるような視線で玲汰を見て。

「も・・・っっ・・・はや、、、っ・・」

達してくれ、と泣き、濡れた玲汰の顔が近づく。

睫に涙がたまり、しげどなく開き荒い呼吸を繰り返す小さな唇。

その口端からは飲みきれなかった唾液が零れる。

黙って見つめれば、もがくように苦しんでる玲汰の顔。

縋りつくように近づいて。

「・・・」

「る・・・ぁっっ・・・」

開いた唇の奥から覗く赤い舌先。

それは淫らに蠢き、玲汰がそっと口を開けば噛み付くように口を合わせてきた。

震える小さな舌先が、懸命に流鬼の口腔内を嘗める。

それは酷く拙い動きのように思えるほど。

でもそれに流鬼は笑みを浮かべると舌に応える。

「っん・・・ふッ・・・ぁっ・・・」

愛する人に求められ
求める。
こんなに必死に

懸命に。

流鬼は口を合わせたまま玲汰の舌を貪り、両手で細い腰をきつく抱く。

「っ・・・ふっ・・・」

取り合えず一回は達っとくか、と流鬼は掴んだ腰を激しく前後に揺さぶった。

「んっっ・・・!!!」

絡めた舌は決して解かず、逃がさず、追いかけた。



「玲汰・・・・?」

情事の後のまどろみ。

気付けば流鬼の腕の中で意識を飛ばしていたらしい。

「ぁー・・・」

しゃべろうとすると口から出たのは掠れた声。

そして思い出す自分の乱れっぷり。

「・・・何いまさら赤くなってんだよ」

思わず赤くなってしまい、そんな反応にくすくす笑われる。

いつまでも慣れない。

よくいつまでたっても初な反応する、とからかわれ。

「玲汰―・・・・」

ん?と顔上げる前にぐいっと引き寄せられる。

気付けば目の前にはいっぱいの流鬼。



「・・・愛してんぜ」



一度しか言わねえからな、と。

言っといて先に照れるとかありえねえべ!と思う位真っ赤になった流鬼。

そんな流鬼を俺も愛してる、と抱きついた。



翌朝目が覚めれば、左手の薬指にはお揃いのリングがされていたのは後の話。



END




〜あとがき〜


玲汰さんはぴば!!


そして夏がきますね(笑)

明日からまた寒くなるって予報だけど・・・(爆笑)


間に合ってよかった・・・・(涙)


いつまでもそのまま少年のような心を抱いたまま頑張って下さい!
流玲大好きだーーーーー(待て)



20060526
葉月透夜