「……つーか俺もう帰るから」
「駄目ですよ、もう止まらないところまできてますから」
「ぇっっ…わっっ」
「……先輩自分の魅力をわかってなさすぎですよ」
のこのこ男の部屋に簡単に上がっちゃって、と言うコイツの顔は最高に魅力的で最高に妖艶だった。
後輩である沙我の顔が自分の首筋に沈む。
そのままクンクンと匂いを嗅がれるようにされて、またその金髪の先端がかするように動くたびに自分の身体がひくん、と反応してしまう。
本当、コイツの『相談』と言う言葉に惑わされて部屋までノコノコとついてきてしまったさっきの自分を呪ってしまう。
後輩だから、と言う事に安心しきってて何も考えなしできてしまった自分を。
「……先輩の匂いって…たまらないですね?俺を惹きつけてやまないですよ」
「っっ……おま、……匂いフェチ?」
なおも自分の首筋に顔を埋めたまま離れようとしない後輩の身体を必死にどかそうとしてみるも、自分とは違う体躯差にびくともせず、そのまま首筋をつつ、っと舐められる。
「玲汰先輩、ちょっとうるさいですよ?」
そのままきているシャツのボタンを一つずつプチン、プチンと外されているのに気付くのに少し思考回路がついていかずに反応が遅れてしまう。
そんな間にも自分のシャツは見事に乱れていき、これから自分がどうされてしまうかなんて容易に想像できた。
「やめろよ、沙我!冗談よせ」
「……冗談じゃありませんよ」
もう、往生際悪い人ですね、と言われてはいそうですなんて言えない。
むしろどう考えても俺が掘られる立場みたいなのは隠せないし、第一ありえない事だし、とにかく後輩にこんな、と言う事が俺の全てをかきたて、必死の抵抗をする。
「っっ……やめ…っ」
そのままドンドンと相手の胸元を叩き離れようとするも、それはすぐさま相手の両手によって簡単に遮られてしまう。
「……うるさいですよ、先輩」
少しだけいつもより肉食獣を思わせるその鋭い眼光を光らせながら、沙我は俺の顎を強い力で押さえつけてくる。
「……沙…」
やばい、と思った瞬間にはそのまま唇を重ねられ、さらにその舌先で口内を割られる。
舌先を挿れられ、そのままかき回すようにされてるうちに自然と自分の身体の力が抜けていくような感覚に陥る。
まるで変なスイッチでも押されたかのように身体がじょじょに熱くなっていき、押さえられた後頭部が逃げ場を完璧に塞いでいる。
「っっ……んんっ…」
んんとか止めさせようと怒鳴ろうとするも、その言葉は全て沙我の唇によって塞がれ言葉にならず、むしろそのまままるで甘えているかのような錯覚を覚える吐息が漏れる。
生理的嫌悪感を感じるならまだしも、自分の身体は明らかにこの沙我のキスに感じている、そう思ってしまうような現象。
今までしてきたキスなんてどんだけ可愛いものだったんだ、と思わせるのに充分なまでに濃厚で俺の全部を喰われてしまいそうな深い口付け。
ただ、キスされれるだけなのにこんなにも身体が言うことをきかないなんて。
「……驚きました。まさか先輩が此処まで感じやすいなんて」
ちゅくり、と音をたててその唇が離れていった時には、すっかりと肩で息をし自分でも瞳が潤んでいるのを感じてた。
そして触れる沙我の指先。自分でも驚く程感じて硬くなっているソレ。
「…沙我が!!あんなキスすっからだろ!?」
そんな自分の身体の反応もさることながら、明らかに相手が優位な立場にあるかのようなこいつの笑みが本気でむかついて。
俺はすっかり潤んで微かにぼやける視界の瞳で相手を睨み上げる。
「……嫌なら感じないでしょう、普通。…でも感じちゃうって事はよっぽど相性がいいのかもしれませんよ?」
クスクスと笑みが零れまるでからかわれているかのような感覚に陥ってしまう。
「何の相性だっての…」
ようやく口から出る台詞はそんな事。
「…何って…。身体の相性以外にありますか?この場合は。俺だってだれかれ構わず欲情するわけじゃありませんよ?」
その、欲情という言葉に一瞬躊躇ってしまう。
そしてふと自分の身体に当たる硬いモノの存在にビクリと腰が竦む。
明らかに俺だけでなく、相手も自分と同じように反応して同じような状態になっていることがわかるから。
「ぇっっ…」
あまりの事に半ば自分の頭の中が真っ白になり、言葉が出なくなってしまう。
そしてそんな俺の事なんてお構いなしに、沙我の手はシャツを左右に割り、こともあろうかベルトにまで手をかけて外そうとしてきた。
「っっ!!!やめっ……」
そんなありえない展開にその手を阻もうとするも、一気に下着ごとズボンを脱がされ、明らかに俺に対して欲情しているこの後輩の前で羞恥に塗れてしまう。
こんな姿を晒す事が今どんだけ危険かなんてわかっている。
ぱ、っと慌てて前を手で隠すも、いとも簡単に両手を掴まれソファに押さえつけられてしまう。
「っっ…見る、なっっ」
後輩、それも同性の男の前で、まさか自分が性的対象になると言う事に羞恥を激しく感じる。
身を捩って逃げようとしてもその掴まれている両手の力は一向に弱まる気配もなく、そんな俺を見ながら鼻で笑われる。
「本当に嫌なら俺の事殴ってでも逃げればいいじゃないですか」
でも嫌じゃないのは身体が証明してますよ、と言われて。
はいそうです、ともいいえ違いますとも反論できずに、言葉に詰まる。
この倒錯的な状況下においても、目の前にいる男の顔は綺麗だった。
女の美しさとは違うもっと野性味のある不思議な美しさ。
こうして見つめられているだけで妙にドキドキしてきて、それだけで自分の身体が考えた雲ないけど、興奮している。
「先輩の後輩になれたのも、何かの縁ですよね」
そう言いながらふわりと微笑みを零され、その表情にドクンと逆流する俺の血液。
ちゅ、っと胸元に口付けられてその刺激に肩が竦む。
「っっぁっ…」
それだけでありえない程の甘い声が自分から漏れる。
一体どこから出したんだ、と言うほどの高い声はまるで女のようで。
「……先輩、感じてます?」
もう、素直に流されてしまって下さいと上目使いで見上げられてまるで喉奥でくぐもったような声で囁かれる。
そのまま胸の突起を舌先で丹念に舐めまわされ、そのたびに身体がひくひくと震えた。
「ぁっっ…っャぁっっ」
なんで、そんな所で自分が感じているのかもわからないし、第一なんで沙我がこんな事を自分にしてくるのかもわからなかった。
そう思うのに、自分の身体は言う事を聞かない。
ブレーキどころか、そのまま速度を上げて歯止めがないまま快楽を拾っていく。
身体中に口付けられ、舌先が這うたびに俺の身体がひくんと跳ね、まるで違う生き物に変えられていくような感覚。
腰に口付けられ太股を撫でられ、上目で見つめられるその視線にすら感じてしまう。
頭だけでなく、俺の全てがおかしくなっていく感覚。
沙我が触れていく処全てが別の生き物なのかのようにザワツク神経細胞。
「ぁっっ…ん」
やがて下腹部をその指先で触れられて、とっさに安堵のため息のような声が漏れる。
恥ずかしいのに、その指先が俺自身に触れた瞬間淫らにも激しい快楽を感じてしまった。
「……シて欲しい?」
沙我の手がソレをゆっくりと撫で、ゆるゆると扱かれる。
でもそんな刺激だけでは足りずに、俺の意識は全てがそっちにむかっていた。
「……先輩の腰、揺れてますよ」
可愛いですね、と言われてかあっと赤くなる頬。
沙我が与える刺激だけでは足りずに自らの腰が揺れてしまって、まるで強請るかのように動いていた。
「もう、本当可愛いです」
恋愛は惚れた方の負けってヤツですよね、と言われて。
そしてゆっくりと沙我のその綺麗な唇が俺のソコに近づいていく。
「っッ!!」
ねっとりとした舌先の感触をその敏感な部分で感じて思わず背中が仰け反る。
沙我の口腔内にまるで不釣合いなようにソレがすっぽりと収まり、ちゅる、っと音をたてて喉奥で吸われて。
「ぁぁっっ…」
脚を咄嗟に閉じようと膝が立ち、内股になるも、すぐにそれは沙我の両手でぐいっと開かれ、まるで見せ付けられるかのようにソコを咥えてる沙我の顎が上下する。
「っっ…ャっっ…」
女にやってもらった事はあっても、男にされるのは初めての事で。
的確に気持よい場所だけを集中的に攻められている感覚。
じゅぷ、と耳を塞ぎたくなるような卑猥な水音が響き、その音にすら聴覚からやられていってしまう。
「……先輩、可愛いですよ」
口を必死で塞ぎ、声が漏れるのを堪えているのを上目で見られ、咥えられたまましゃべられれば、トクと脈打つ自身。
「……感じます?」
舌先で先端を割るように刺激されれば、それにすら我慢出来ずにこぷりと溢れ始めれる蜜。
沙我の口でイくなんてありえないと思っていても、それはどれだけ我慢しようにも溢れてくる。
「っっ……」
もう出るから、顔を離せと相手の頭を押したが、その望みもむなしく、俺は沙我の口腔内に白濁を飛び散らかした。
「っっ……っ」
ゴクンと喉が鳴る音に我に返り、相手を見つめればそこには至極嬉しそうな表情をして舌なめずりしてる後輩の姿。
その濡れた唇にトクンと自分の胸が高まる。
「……先輩、溜まってました?」
結構濃いですね、と言われて。
咄嗟に傍にあったクッションをあいてに投げつける。
「ぁっ…ちょっと先輩酷いじゃないですか」
クスクスと笑いながら俺にのしかかってくるこの俺よりデカい後輩。
この先の展開なんて、とうにわかってる。
でも、頭では理解していても身体は理解出来てなくて。
柄にもなくカタカタと震え始める。
「……先輩?」
そんな俺が心配になって覗き込まれるその顔はいつもの知ってる後輩の顔で。
「……んでこんな事すんだべ」
だって、何も聞いてない。
帰るって言ってたのにいきなりこんな展開になってしまったから。
「……なんでって」
先輩の事が好きだからですよ、と耳元で囁かれて。
「……普通それが最初だろ。馬鹿」
そんな沙我の台詞に酷く安心した自分がいた。
終……?
あとがき
ごめんなさい!!
やまなしおちなし意味なし!!
もう、沙れを書きたくなってしまい、急遽UPしてみました。
そして肝心なシーンはなし!
何が萌えるって、ちゃんと沙我くんが玲汰さんの事を先輩扱いしてるけど大好き大好きオーラが出てるトコがイイ!
ちょっといつもの玲汰さんとは違う玲汰さんでいってみました。てへ